*現代ビジネス 「ニュースの深層」連載中
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*ダイヤモンド・オンライン「町田徹の“眼”」
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また浮上した「東電国有化」の実態は、重い国民負担を招く官僚の失策隠し(2011/12/27)
またしても東京電力の国有化が大手紙を賑わせている。「国有化」にも様々な選択肢があるが、各紙が報じている「東電国有化」は、東日本大震災直後に、財務省、金融庁、経済産業省が犯した判断ミスが表面化するのを防ぐための失敗隠しに過ぎない。結果的に、事実上破たんしている企業を延命させ、「東電」という不良債権の処理を先送りするものだ。
現代ビジネス
お手盛りだったオリンパスの調査報告 破たん山一とのもたれ合い疑惑も素通り(2011/12/20)
お手盛りの社内「第三者委員会」の調査報告を土台に会社再建を目論んだ経営陣の戦略には無理がある。調査では、91年7月までに山一証券から損失補てんを受けながら、その後も巨額の損失が残り、桁違いの規模に膨らんだ謎は解明されていない。また、金融、捜査当局が調査の成り行きを見守り時間を浪費したのは、日本市場の信頼回復の足を引っ張る行為である。
現代ビジネス
欧州金融危機の教訓は、財政だけなのか?四面楚歌の野田政権が抱える真の課題とは(2011/12/13)
世界に例のないペースで進む高齢化と人口減少、それに伴う国内市場の縮小と成長力の低下、処理の誤りから日本国民の巨大な不良債権と化しつつある福島原発事故の賠償と除染、そして国家的危機を顧みず利権に執着する官僚組織・・・。日本経済には問題が山積みであり、欧州危機は、これらすべてについて警鐘を鳴らしていると受け止めるべきではないだろうか。
現代ビジネス
野田首相、蓮舫大臣に反旗を翻した川端総務相「電波オークション前倒し実施」を総務官僚が全力で阻止に乗り出した(2011/12/6)
携帯電話の周波数オークションの実施前倒し議論が、閣僚の造反劇や閣内不一致騒ぎに発展してきた。きっかけは、川端総務大臣が1日の国会答弁で、「既定方針通りに進めたい」と発言したことだ。その舞台裏では、総務官僚が政治力を駆使して強行突破の構えをみせている。増税圧縮に繋がる財源作りを潰す行為だけに、蓮舫行政刷新担当大臣は怒りを露わにした。
現代ビジネス
蓮舫大臣に孫社長が肘鉄を食らったワケ 周波数オークション潰しは許されない!?(2011/11/29)
「まだ仕分け期間中ですから、関係事業者の方とはお会いできません」−−。11月21日夕刻。行政刷新担当の蓮舫大臣が、ソフトバンクの孫正義社長にきつい肘鉄を食らわせた。孫社長が、自然エネルギー協議会の緊急提言を手渡すという名目で内閣府を訪ねたにもかかわらず、「仕分けの結果について、お話ししたい」と切り出した途端の痛撃だったという。
現代ビジネス
緊急討論!政策仕分けで浮上した電波オークションは日本を変えるのか?(2011/11/28)
講談社『現代ビジネス』ライブ
オリンパス損失隠し問題の真相(2011/11/24)
ニコ生×現代ビジネス
プラスの化学反応を呼び寄せた!?日本のTPP参加表明(2011/11/22)
国益が剥き出しでぶつかりあう国際会議ラッシュの中で、貿易立国・日本は、経済外交においてマズマズの布石を打つことに成功した。何と言っても効果的だったのは、野田首相がAPECでTPPの参加交渉に着手すると表明したことだ。この緒戦の成果を、どう活かせば、世界の平和・共栄につなげることができるのか。重要な3つのポイントについて考えてみたい。
現代ビジネス
増税の圧縮より、天下り先の焼け太り!「周波数オークション」を潰した電波官僚の「厚顔無恥」(2011/11/15)
1、2兆円の税外収入が見込める携帯電話の周波数オークションを、総務官僚が頑なに拒んできた本当の狙いがようやく明らかになってきた。代替措置として世界に例のない奇妙な割当方式を導入し最大2000億円あまりの資金を民間から吸い上げて、斜陽な業務用無線事業を営む、総務官僚の天下り先の財団法人などで山分けしようと目論んでいるのだ。
現代ビジネス
再生可能エネルギー振興策に群がる「政商」自民党・経産省出身政治家が
後押しする「日本風力開発」の素性(2011/11/8)
再生可能エネルギー特別措置法案の審議が進む中、古参の風力発電事業者に対する政策支援強化を迫る急先鋒の西村康稔、川口順子両議員はともに通商産業省(現経済産業省)の出身。2人の背後には、通産省OBで資源エネルギー庁長官も務めた「日本風力開発」会長の稲川泰弘氏、エネルギーと環境に跨る族議員のドン、大島理森自民党副総裁がいる。
現代ビジネス
いまこそ平清盛、徳川家康、坂本龍馬ら歴史転換に立ったリーダーの発想に学ぼう
―世界不況の危機にある今こそTPP交渉参加が必要だ(2011/11/1)
日本がTPPに参加した場合、10ヵ国の市場規模は世界の4割に達する。この巨大市場が、中国やロシアといった環太平洋に位置する新興国にとって、魅力的な輸出先に映らないはずがない。貿易協定が相互に輸出拡大を図るものだとの認識を共有させるのにも役立つはずだ。各国の経済政策が息切れしている今こそ、TPPのような自由貿易の振興策が大切になっている。
現代ビジネス
成立機運に湧く「郵政法案」の落とし穴―「世襲公務員」特定局利権を守ったまま上場できるのか(2011/10/25)
復興増税を前に、政府保有の日本郵政株を売却する道を整えて税外収入を増やし、国民の負担を軽減しようという考え方自体は公益にかなう。しかし、現行の改革法には大きな落とし穴がある。郵便に限られていたユニバーサルサービス義務を郵貯や簡保にも拡大しようという点だ。その本当の目的は、特定郵便局制度を温存しようとすることにある。
現代ビジネス
問題はIAEAが警告した「除染」だけか?「破たん」へひた走る民主党政権の電力政策(2011/10/18)
政府はエネルギー政策の見直しや原発事故の処理に関して、国民に膨大な費用負担を強いることになる施策を、そのリスクをきちんと開示しないまま、なし崩し的に開始しようとしている。その一つが除染で、原発事故担当兼環境大臣の細野氏は、自らも出席した検討会で固められつつあった除染対象を、予算の手当てがないまま拡大する発言を繰り返している。
現代ビジネス
「原発再稼働なら大丈夫」という杜撰シミュレーションで破綻リスクを隠し、国民負担を強要する「東電第3者委員会報告」の国家的詐欺(2011/10/11)
報告は、賠償金額を過小に見積もった。負担しなければならない膨大な除染コストをカウントせずに、東電が深刻な破たんの危機(債務超過リスク)に瀕している事実の隠ぺいを試みた。一方、東電の自助努力の根幹になるはずの発電所売却は検討した形跡もない。ツケを払わされるのは、我々国民だ。東電が目論んでいるとされていた、10%値上げの援護射撃に他ならない。
現代ビジネス
「第3者委員会最終報告書」発表延期の一方で、資金繰り難や電力料金値上げなど「東電擁護」報道が続出した裏事情(2011/10/4)
報告書の公表が先送りされ、新聞各紙がスクープ合戦を繰り広げる中、東電への政府支援や電気料金の引き上げが急務であるかのように印象付ける報道が目立った。東電の擁護を目論む当局が、世論の支持を取り付けるためにプロパガンダを繰り広げようと、発表を先延ばしして時間稼ぎを目論んだのではないか、と訝った読者も多いのではないだろうか。
現代ビジネス
情報公開怠り東電擁護が目立つ「第3者委員会」―発電分離を素通りなら「電力料金値上げ」への道(2011/9/27)
東京電力は、福島原発事故の賠償金支払いのための政府支援や、値上げによる国民への負担転嫁に値する経営努力を果たしたと言えるのだろうか――。「厳正な資産評価と徹底した経費の見直し」のために設置された政府の第3者委員会だが、担うべき役割をきちんと果たしていると考えるのは難しい状況だ。国民負担の拡大を抑えるため、土壇場の奮起を求めたい。
現代ビジネス
増税より前に政府保有株の売却を―財務官僚が嫌う「郵政株売却」に踏み込んだのだ首相の答弁を支持する(2011/9/20)
野田佳彦首相は9月14日の代表質問で、政府が保有している日本郵政株について「財源確保の観点から、株式の売却に向け、環境整備を含めて努力したい」と財務官僚が避けようとした課題にあえて踏み込んで発言した。これは、税外収入を確保する努力を怠り、サボタージュを決め込んでいた財務官僚たちの尻を叩く、なかなかの発言である。
現代ビジネス
歴史的な大和証券との株価逆転「巨額のサブプライムローン訴訟」だけではない野村の苦悩(2011/9/13)
9月6日のこと。野村ホールディングスと大和証券グループ本社の株価が逆転し、経済界の注目を集めた。この逆転劇の背景には、米政府の債務削減問題や欧州の財政危機に揺れて、新たな構造転換を余儀なくされつつある、世界の金融・資本市場の流れがある。先進諸国の相対的な地位が急低下する中で、原点に戻らなければ、野村の活路は開けないのではないだろうか。
現代ビジネス
理念、思いつき先行の鳩山・菅の失敗に学び、「地道な地ならし」で逆転した野田首相に期待する「指導力」(2011/9/6)
組閣も終えない段階で、自民、公明両党との政策協議の場や、経済界の意見を吸い上げる野田版・経済財政諮問会議の設置に乗り出した新総理。コンセンサス作りを徹底することによって、前任者たちが失った「首相」職への信頼の回復を目指しているとみてよいだろう。その人間力と、順調な滑り出しの演出と引き換えに背負い込んでしまった弱点を探ってみたい。
現代ビジネス
コストカットも徹底しないまま引き上げに走る東電 菅首相が残した「電力料金値上げ」という置き土産(2011/8/30)
菅首相が退陣条件とした再生可能エネルギー特別措置法、原子力損害賠償支援機構法は電気料金の引き上げに、特例公債法は財政赤字の垂れ流しに拍車をかけて、将来に大きな禍根を残すことは確実だ。失政の重いツケはこれから回ってくる。その第一が、1家庭当たり単純平均で月額700〜800円との見方も出ている東京電力の値上げ問題である。
現代ビジネス
「JALがLCCに本格参入」報道は的外れ(2011/8/23)
日航の格安航空事業参入は、全日空に対抗する戦略であるかのように報道されているが、経営破たんして政府から3500億円の資本注入を受けている同社に、新たなビジネスモデルを模索する余力はない。LCCより経営効率が悪くても、比較的利益を上げ易い「高級感をセールスポイントにしたフルサービスキャリア路線を変更する考えはない」のが実情だ。
現代ビジネス
東京・大阪間のフライトが2400円!?本格的なLCCの時代へ、ANAが背水の陣(2011/8/16)
全日空はエアアジアと合弁会社エアアジア・ジャパンを設立、本格的にLCC(格安航空会社)事業に参入する。驚かされるのはフライト1時間に付き30米ドルという運賃体系だ。全日空にとっては、既存の利用客をエアアジア・ジャパンに奪われるリスクもある。全日空がコストカットに成功し、本体でも低廉な運賃の魅力あるサービスを提供し続けることを期待する。
現代ビジネス
NTT株売却や電波利用料の値上げは誤り 復興財源には「電波オークション」が最良の選択だ(2011/8/9)
「東日本大震災の復興財源」という錦の御旗の下、政府が保有するNTT株の売却計画や携帯電話の電波利用料の引き上げ論が注目を集めている。しかし、この2つは、日本の安全保障や経済の成長力、通信会社の公共性を脅かしかねない。復興財源を電気通信市場に求めるのならば、周波数オークションの導入といった政策こそ王道ではないだろうか。
現代ビジネス
地デジに便乗、NHKが受信料値上げを模索(2011/8/2)
デジタルテレビ購入などで大きな出費を強いられた家庭も多かったはずだが、この国策への協力が、さらなる恒常的な出費を招く可能性がある。NHKが数年にわたって先送りしてきた受信料の10%値下げを反故にするばかりか、“地デジ便乗値上げ戦略”を進めているからだ。その一方、地デジに伴う周波数の跡地利用で、放送法上の義務を果たす覚悟はないという。
現代ビジネス
復旧・復興に国より頼りになる基礎自治体 矢田神戸市長インタビュー(2011/7/26)
関西地区は今、原発の運転が再開できず、関東に劣らない電力不足に直面している。16年前に阪神淡路大震災で被災した直後から、神戸市の幹部職員、助役、市長と歩み、復旧・復興の陣頭指揮を執ってきた矢田立郎神戸市長に、被災者と寄り添う基礎自治体ならではの対応や被災地支援、電力不足への取り組み、国に望まれる対応などを聞いた。
現代ビジネス
菅首相「脱原発」で儲ける「政商」ソフトバンク(2011/7/19)
電力参入を可能にする自社の定款変更の前に、こっそりと風力発電会社を掌中に収め、そのうえで菅首相に働きかけて風力発電会社の収入を保証する振興法案を成立させる。それによって、10〜20年単位で「濡れ手に粟」の利益を我がものとする――。そんな“離れ業”をやってのける、抜け目ない会社が存在する。孫正義社長が率いるソフトバンクだ。
現代ビジネス「ネットの自由」を標ぼうするサイバー同盟に乗り遅れ 国際社会から孤立した菅政権の大失態(2011/7/12)
米、仏、英を中心とした「サイバー同盟」の一員として、「ネットの自由」を標榜する側に立つのか、それとも、中国やアラブ諸国のネット上の基本的な人権の侵害に対して、何も言わないのか。日本は歴史的な選択を迫られているにもかかわらず、その場しのぎの延命策に躍起の菅直人政権は国際社会の激変も、事の重大さもまったく理解していないようである。
現代ビジネス
官民14兆も投じたが、「跡地利用」も迷走し効果が上がらない「地デジ改革」を成功させる方法(2011/7/5)
デジタル化の成否は、大義とされた経済的効果の検証から判定すべき。技術の国際標準の獲得が容易でなく日本製テレビの輸出促進に役立ったとは言い難いうえ、周波数の跡地利用も進まない。地デジを失敗に終わらせないために、総務省は周波数オークション導入やNHKの受信料を放送プラットフォームの建設投資に充てるなど、戦略を練り直す必要がありそうだ。
現代ビジネスアップルやグーグルも監視対象に
総務省が「競争モニター制度」でスマートフォンの市場支配力にメス(2011/6/28)
消費者利益を損ないかねないとされるアップルやグーグルの市場支配力に、遅ればせながら日本でも競争政策のメスが入る可能性が出てきた。利用者が急増しているスマートフォン市場を橋頭堡として、総務省が競争評価制度で監視する対象を拡大する検討に入ったためだ。企業の反発や政府部内の権限争いが予想され、市場監視体制を構築できるかは予断を許さない。
現代ビジネス「節電のお願い」という名の恫喝に屈するな(2011/6/14)
当面の原発の運転再開には、万全の安全対策が求められる。そこで、いざという時、ただちに出動できる“原子力サンダーバード”の創設を提案したい。自衛隊、消防庁、警察庁、地元自治体、電力会社から成るチームを編成しておき、専門知識や特殊技術を持つ人員と必要な機材を配備、日頃から訓練を行い、メルトダウンや水素爆発を抑え込む体制を作るのだ。
現代ビジネス 司法判断は妥当ではあるが、不公平だ ホリエモン裁判が市場にもたらした「罪」(2011/6/14)
実刑が確定した堀江氏は無罪の主張を繰り返し、司法や検察への不満をぶちまけている。筆者には、より本質的な問題があることを承知しながら、検察が捜査を急ぎ過ぎ、それらを真正面から事件としなかったことが係争に影を落とした気がしてならない。株式分割、時間外取引、特殊な社債の3つで、「不正の手段、計画、技巧」を禁ずる法の規定も存在するのだ。
現代ビジネス
ソフトバンク孫社長が打ち出した「電田構想」は脱原発の福音か、それとも補助金狙いの新規事業か(2011/6/7)
孫社長の大規模太陽光発電事業への参入計画が関心を集めている。追い風を捉えて新たな事業計画を打ち出すのは、機を見るに敏な孫社長らしい。強調せざるを得ないのが、太陽光で発電した電気の電力会社による全量買い取りや、農地の利用規制緩和、府県による休耕地供出など、公的支援をフル活用して、ノウハウのない事業への参入を果たそうとする経営戦略だ。
現代ビジネス
東京電力をどうするか(2011/6/4)
競争のない地域独占、発送電の垂直統合、コストリスクを電気料金で吸収することが許される統括原価方式など、数々の特権が巨大企業・東京電力という「怪物」を生み出した。政府による賠償スキームで得をするのは、東電、関連メーカー、天下りを続けてきた経産省など「東電ファミリー」と金融機関で、損をするのが料金値上げの影響を受ける一般の利用者だ。
ビデオニュース・ドットコム1人よがり菅首相の自然エネルギー公約(2011/5/31)
G8やOECDのパーティーで、発電に占める自然エネルギーの割合を2020年代に20%超にすると演説した菅首相。政府のデータを使って推計すると、首相の発言を実現するには、今後9年間に国民1人当たり年34万2500円を負担することになる。首相という肩書さえあれば、国内でコンセンサスを得る必要もなく、このような独断専行が許されるというのだろうか。
現代ビジネス 平松大阪市長に南海地震対策を聞く(2011/5/24)
東北3県の被災地の復旧支援では、全国の市町村による救援、復興の支援が、実働部隊として着実に貢献している。また、自治体レベルでは、東日本大震災を教訓に、後手にまわる国を尻目に、巨大地震に備えて新たに行動を起こしているところが珍しくない。震災直後に被災地支援に乗り出した大阪市の平松市長にインタビューし、大型地震への対策を聞いた。
現代ビジネス国民負担にまっしぐら!支援機構の負担金を電気料金に上乗せ(2011/5/17)
東電の経営破たんリスク隠しを狙った原発事故賠償の支援に関する政府案は、全国の電力会社に賠償費用の分担義務を課す内容。その法案化には、憲法違反の疑いがあるとして、内閣法制局が待ったをかけたという。それでも、政府案を5月中に法案化しようと、政府は、電力会社の負担を容易に電力料金に転嫁できる案をちらつかせ、電力会社の懐柔を試みているという。
現代ビジネスその場しのぎの「浜岡原発停止要請」の大罪(2011/5/10)
福島原発より危険性が高いとされていた浜岡原発の対応策を打ち出したこと自体は悪くない。しかし、何の法的根拠も強制力もない「首相の要請」という形で、民間企業の経営の根幹を左右する方針を打ち出したことは、決して容認できるものではない。その一方で、菅政権は、東電自身に内部留保の活用など身銭を切る努力を迫るという発想が全くないままだ。
現代ビジネス復興よりも先に進む、東電、銀行、財務省を保護する「福島原発賠償策」の異常(2011/4/26)
福島原発の損害賠償(補償)の支援計画(政府案)が明らかになったが、その主眼が円滑な賠償金の支払いにあるとは思えない。むしろ、東電の存続の後押し、無担保で東電に貸し込んだメガバンクの保護、財務官僚が嫌う直接的な税金投入の回避--の3つこそ、真の狙いではないだろうか。そのツケは、10年以上にわたる電気代の値上げという形で我々庶民に回ってくる。
現代ビジネス
東電賠償スキームで電気料金は大幅値上げへ(2011/4/23)
<ニュース・コメンタリー>政府案は、事故の賠償金を電気代で賄おうとするとんでもないもの。まず、東電が内部留保を拠出して事故対策と補償のための基金を立ち上げることが、地域独占企業である東電の責任ではないか。
ビデオニュース・ドットコム経済音痴の復興会議には任せられない「善意の節電」に潜む落とし穴(2011/4/19)
国民や企業の驚異的な節電努力によって、震災から1カ月の電力不足を乗り越えることができたが、それに伴って日本の成長率が3%以上も減速した可能性が浮き彫りになってきた。ところが、復興構想会議は財政偏重・増税ありきの復旧・復興策を推し進める方針を打ち出した。菅政権には、菅政権が「日本経済のリスク」になっている事実の自覚が求められている。
現代ビジネス
遅くて、小さくて、貧しい補正予算 復旧・復興に必要なクレバーな秘策とは?(2011/4/12)
政府・民主党の復旧・復興策作りが迷走を続けている。阪神淡路大震災当時の村山内閣と比較しても、補正予算の編成が遅いうえに、規模は4兆円程度と、政府が公表している損害額を大きく下回る。速やかな第2次、第3次補正の編成は不可欠。法人税の減免措置、レベニューボンドの発行促進などで、内外から民間投資を呼び込むことにも最大限の努力をすべきだ。
現代ビジネス
東電は「国有化」より、「メキシコ湾BP型ファンド」創設で速やかな対応を(2011/4/5)
機能不全と思考停止に陥った政府と東電。参考になるのが、昨年春、メキシコ湾で原油流出事故を起こしたBPの対応だ。事故から56日で周辺住民らに当面の生活補償として2億100万ドルを支払い、次いで、米政府の要求を呑み、中長期の損害賠償のために200億ドルの基金を設置した。自ら十分な支払い能力があることを示して、事態の収拾の道を開いたのだ。
現代ビジネス
国際社会をも震撼させた政府と東電の稚拙さは「国有化」では解決しない(2011/3/29)
国際社会が菅政権と東京電力の福島第一原発の事故対応に懸念を強めている。各国が首都圏あるいは日本からの避難を促したのに続き、国連の潘事務総長の声明は日本と東電の対応の不備を浮かび上がらせた。原子炉に注入する水を真水に切り替えるよう迫ったのは米国だ。底流には、深刻な事態を前にもたつき、機動的に有効な手を打てない政府と東電への苛立ちある。
現代ビジネス
電力会社の「地域独占見直し」も必要な「長期化必至の電力不足」対策(2011/3/22)
次に待ったなしで浮上する課題は、今後、数年間にわたって継続しかねない中長期的な電力不足にどう立ち向かうかだ。欧米諸国の電力網がメッシュ(網)型の重層構造であるのと対照的に、日本では電力会社が縦列している。安定供給の美名のもと「地域独占」を享受してきた電力各社の猛反発は必至でも、産業政策の大転換で電力のネットワークを増強する必要がある。
現代ビジネス
「巨大津波対策不足」から続く誤算が招いた原子力発電「安全神話の危機」(2011/3/15)
東京電力の福島第1原子力発電所で、原子力発電の安全神話を根底から覆しかねない事態が相次いでいる。「想定外の津波」の直撃を受けて、非常用の冷却機能が失われたことが原因とされている。原子力発電はコストが廉価なうえ、温暖化ガスを排出しないクリーンなシステム、安定供給が期待できるとの評価もあったが、そうした議論は根底から覆されかねない。
現代ビジネス
「希少疾病の治療薬」供給「開発支援」は苦しむ患者の福音になるのか(2011/3/8)
生活習慣病やガン用の医薬品、ワクチンの認証なども含めて幅広い分野で、国内の製薬メーカーの国際競争力の強化を怠ってきた薬事政策のツケが今、希少疾病の治療薬の開発・商品化で大きなハンディキャップになっている。ドラッグラグの解消にとどまらず、幅広い新薬開発の競争力の維持・向上を目指す国家戦略が不可欠だ。
現代ビジネスレアアースの供給不安につけこみ、新リサイクル法の制定を企む環境省(2011/3/1)
レアアースなど希少資源の供給不安につけこんで、規制権限を拡大しようとする動きが本格化し始めた。「都市鉱山」というもっともらしい幻想をふりまいて、携帯電話やゲーム機、電子レンジなどの小型家電にリサイクル規制を導入しようという環境省の計画がそれだ。説明責任を果たさず、企業や消費者にあたらな経済的負担を強いる立法に突き進む姿勢なのだ。
現代ビジネス
巨大証券取引所誕生の衝撃 東証・大証のとるべき道は(2011/2/22)
NYSEユーロネクストとドイツ取引所が統合を目指す狙いは、取引システムの開発に不可欠な資本力を強化することにある。東京、大阪の両証券取引所は、欧米の巨大取引所の傘下に入り生き残りをめざすのか、それとも“ジャパン取引所”を模索するのだろうか。取引所は経済社会にとって命を支える心臓のような存在だけに、今後の展開から目が離せない。
現代ビジネス
財政赤字が招く危機 日本は投機の標的にされるのか?(2011/2/15)
財政再建プランの構築が急務になってきた。S&Pによる国債の格下げに続いて、国際通貨基金(IMF)が消費増税と歳出削減を柱とする改善策を要求。早く手を打たないと、日本売りのシナリオでひと儲けを企んでいる投機マネーに付け入る隙を与えかねない。国債のほとんどを国内消化できるという財政赤字放任論は、次第に過去のものになりつつある。
現代ビジネス
新日鉄と住金は新日本モデルを築けるか(2011/2/8)
新日本製鉄と住友金属工業がついに合併交渉のテーブルに着いた。現場の事業提携から始めて信頼関係を作ることに時間をかける日本的アプローチは、金融ファンド型経営の対極に位置する。統合の成否の鍵を握るのは、どの事業を廃業・縮小し、どの事業に経営資源を注ぎ込むかの「選択と集中」だ。雇用と成長を両立でき、末永く栄える企業作りを目指して貰いたい。
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スクープ入手「光の道3法」改正案から抜け落ちた周波数オークション制度(2011/2/1)
ブロードバンド・ネットワークの振興を目指す光の道3法案の中に、他の2法案と明らかに毛色が異なり、看過し難い法案が含まれている。電波法の改正案がそれだ。この法案には、関係者への公約だったはずの周波数オークションの導入の青写真がまったく描かれていない。換言すれば、オークション導入という公約を反故にする布石ともとれる内容になっているのだ。
現代ビジネス留学生の減少は「企業の責任」経団連は新卒採用時期の全面見直しを(2011/1/25)
大学生が長期間にわたる就職活動を強いられている問題について、日本経済団体連合会が打ち出した対応策は、遅くに失したうえに実を伴わない内容にとどまった。今回の決定のように企業の都合を優先しすぎることは、むしろ企業側の望む人材の確保の障害になることや、消費を刺激しにくい雇用環境を作り出していることに、経団連や企業は目を向けるべきだろう。
現代ビジネス
問責隠しの内閣再改造から離れる人心(2011/1/18)
政権の浮揚を賭けた内閣再改造だが、もはや多くの有権者は、菅首相が続投して中長期の懸案の実現に取り組むことを歓迎していない。この局面で首相に期待されるのは、これ以上、経済の回復ペースが鈍化しないよう、速やかに来年度予算と予算関連法案を成立させることだけと心得るべきではないだろうか。解散も辞さない覚悟こそ求められているはずである。
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混迷するNHK会長選びで「受信料値下げ」はますます遠くなる(2011/1/11)
昨年来のNHKの次期会長人事を巡る混迷が一段と深まっている模様だ。3年前からわかっていた会長人事さえきちんと決められない経営委員会に、数年来の懸案であるNHK改革を主導していく能力があるのか。統治能力の乏しい最高意思決定機関をトップに頂いて、職員のモラルダウンは必至だろうし、受信料の引き下げ論議も再び有耶無耶になりかねない。
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最悪のクリスマスプレゼント「菅予算」が示す2011年の苦境(2011/12/28)
2011年度政府予算案は過去最大の歳出規模だが、積極的に経済の減速を予防しようとしたわけでも無く、「行政の無駄を洗い出す」政治的な努力を怠ったに過ぎない。一方で、決断力の乏しさから既存の方針の見直しを先送りした。中途半端にマニフェストを実現しようとして歳出が水膨れしたわけだ。さらに、景気の下支えに役立つと考えにくい支出が並んでいる。
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「NHK次期会長最有力」安西前慶応学長の弱点は「日テレ応援団」(2010/12/25)
NHKの次期会長候補は、安西祐一郎氏が最有力とされるが、気掛かりな問題もある。本来ライバルである民間放送局の出身者らが熱心に安西氏の会長就任を後押ししており、これが逆効果になりかねない、と懸念されているのだ。ある関係者は「日本テレビ放送網が後押しするという行為は、安西氏の候補としての芽を摘む結果になりかねない」と当惑を隠さない。
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