あの大震災と原発事故から3年。そろそろ隠された真実に目を向けるべき時
ではないだろうか。実は、福島第一原発事故を引き起こし、国民を恐怖に陥れ た東京電力とは対照的な電力会社があった。東北6県と新潟県に根を張る東北
電力だ。本書は、東北の復興のため、電気を送り続けようと苦闘してきた同社
の3年間を取材、記録した真実の物語である。
東北電力は、震源に最も近い女川原発を守り抜き、原発に避難してきた住民 を支えながら、ライフラインである電気の供給に努め、一度も計画停電を実施
しなかった。だが内実は、主力の3火力発電所など多くの設備が壊滅的な打撃 を受け、存亡の危機に直面していた。
本書では、困難を厭わないこの会社のDNAを徹底的に探究した。その源流 は、昭和初期の創業目的である「みちのく」の振興にある。そして、会津地方
のダム開発を巡る東京電力との法廷闘争を通じて、白洲次郎(初代会長)、「和 の経営」を唱えた内ケ崎贇五郎(同社長)らが、会社に誇り高きDNAを植え込
んだのだった。顧客と社員を大切にする会社がめっきり減った今日、これほど 勇気をくれる会社は珍しい。是非ともご一読いただきたい。
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